由緒・沿革
古来、月山、羽黒山、湯殿山を出羽三山と称したが、月山の頂上には官幣大社月山神社、羽黒山の頂上には国幣小社出羽神社、湯殿山には国幣小社湯殿山神社がそれぞれ鎮座している。月山・湯殿山は高岳峻嶺で且つ冬は雪深く夏季以外は容易に登山参拝ができないので、両山の祭神を羽黒山鎮座の出羽神社本殿に合祭して、これを三神合祭殿と称し、四時大中小の祭祀が行われ、俗に三山神社と呼んでいる。三山草創の由来を尋ねると、崇峻天皇の御子蜂子皇子は早くより宮室を出で給い北海より羽黒山に登拝せられ、出羽大神の御顕現を感得し、是推古天皇の元年で、更に皇子は月山の頂上にて月山大神を同13年に湯殿山にて湯殿山大神を感得した。
特殊神事
秋の峰 8月26日~9月1日
全国から集まった160名の山伏達が山中に篭り一週間に及ぶ荒行に挑む。
八朔祭 8月31日
稲の結実期に際し、成熟しようとする田面の災害がないように祈る祭り。それに併せて秋の峰の柴燈護摩が行われる。山伏たちが御開祖を祀る蜂子神社前の護摩壇において柴燈祭(火祭)を執行し火を放ち夜空を焦がす勇壮な炎の祭りでもある。
松例祭 12月31日より1月1日
大晦日に行われる羽黒山伏の代表的な祭り。松聖と呼ばれる2人の山伏を中心に位上方と先途方に分かれ、競い合う。恙虫(悪鬼)に見立てた大松明を焼き払い、明年の豊作・豊漁を占う。此の神事の中の大松明曳行事は国の重要無形民俗文化財に指定されている。又、一年の災いを焼き払い、新しい清浄な火を切り出し福を招く。
地域の伝統行事
春山代参 5月3日より5月5日
農作業を始めるに先立って、田の神を山から迎える田の神降ろしをする習俗は今も日本の各地に残っているが、山伏の里手(と)向(うげ)集落の春山の行はまさしくこの田の神おろしの祭りである。氏子の代表20名余りが未だ雪深い月山に登拝し湯殿山へ下る。月山が磐梯朝日区立公園に指定された昭和二十五年までは山の神の依り代とされる花(石楠花・五葉松・山柘植)を持ち帰り、農作業が始まると水田の水口に差して、苗の成長のお守りとした。現在は花に変わって神社のお札にかえて継承している。